ろこもこゆーすふる〜美術部の日々〜

  番外編  口から生まれる無限の要(仮)



new→《当台本を利用してくださってる方へ》




垣本 ゆりえ(かきもとゆりえ)女 高校3年生
明るく元気なスポーツ系天然娘。
中学時代は陸上部のキャプテンとして県内の大会を総なめにするほどの実力があったが
ひょんなことから美術部に入部したらしい。


赤星 寛子(あかぼしひろこ)女 高校3年生
美術部部長。基本的には、真面目な姉さん気質。
某有名芸術大学を目指し勉学に奮闘中。
絵は天才的に上手いといえばそうだが、色彩センスだけは素人が見てもまるでない。


喜戸 泉(きどいずみ)男 高校1年生
今年の新入生。パワフルで熱い青年。
本人は至って真剣なのだが、よく周りには変人扱いされる。
実はそれには彼の趣味に問題があるかららしい。
その趣味とは、被服(衣装デザイン)である。
理由が不可解だが、彼も第1話で入部を決めた。


奥 要(おくかなめ)男 27〜29歳くらい 教師
美術教師で美術部の顧問。
普段は涼しげな顔をしていて何を考えているのか分からないが
中身は完全なる熱血教師。
そして、話し出すと意外とおしゃべりで本人無自覚であるがナルシストでもある。
ちなみにボケもツッコミもでき、スルースキルが高い。
※店主(別人)と掛け持ち


牧田 知花(まきたちか)女 高校3年生
口から生まれたようなお喋り少女。ゆりえの幼馴染。
あらゆる噂・ニュースが大好きで、かなりのミーハー。
落ち込んでも次の瞬間けろっとしているくらい感情の切り替えが早い。








   2:3:0台本

<キャスト>
垣本 ゆりえ (♀):
赤星 寛子  (♀):
喜戸 泉    (♂):
奥 要/店主 (♂):
牧田 知花  (♀):










◆放課後 職員室

「俺に頼るのもいいが、たまには担任にも相談しろよ。こういう問題は俺に相談しろとは言ってあるが
   俺だけではフォローできない部分があるから、担任ともよく話し合っておけ。
   ――もう7時前か。あーそれでは、遅いから帰りなさい」
寛子 「わかりました…。では、失礼します」
「はい、お疲れ。気をつけて」

――職員室のドアが開く

ゆりえ 「ほよ?」
寛子 「あー……」
ゆりえ 「寛子、おっつー」
寛子 「あ、ああ。ゆりえ、まだ待っててくれたのね、有難う」
ゆりえ 「えへへ、どういたしまして〜。また長いこと要と話してたね?」
寛子 「うん」
ゆりえ 「何の話?」
寛子 「進路。本当はこういう話、担任とするべきだとは思うんだけど、やっぱり美大とかに行くんだったら
    要先生に相談した方がいいかなって。それで目標大学と滑り止めの話をしてた」
ゆりえ 「うーむ。もうそんな時期なんだねぇ。早いなぁ」
寛子 「あんたも早くそういうこと考えなさいよ。あっという間に就職試験なんかくるんだから」
ゆりえ 「あいよぉ」

――廊下の向こうから大きく手を振る人影が見える

寛子 「ん?誰か手を振ってるけど…」
ゆりえ 「…あっ!ちーちゃんだぁ!おーい、こっちだよぉ」
寛子 「ちー?あぁ、あの子か」
知花 「(走りながら近づいて)ゆ――りぃ――え――――!」
ゆりえ 「やっほー!元気してたぁ?」
知花 「あったり前よぅ!この私がへこたれた事が一度でもあった?いーや、なかったでしょ。
    なんたって健康には人一倍気にかけてるからねぇ。朝でも昼でも夜でもはたまた真夜中!
    いつだって、私は全力投球、力戦奮闘、絶対に欠かせないんだからぁ。ゆりえこそ元気だった?」
ゆりえ 「うん、元気だったよー」
知花 「うむうむ、それは何より。あああ、寛子さんこんちゃ!」
寛子 「ああ、知花。こんにちはー」
知花 「なんか冴えない顔してるわねー。そんな顔してたら楽しいこと、どっかいっちゃうよ?」
寛子 「そ、そうね。気をつけるね」
知花 「うーん?笑顔引きつってるぞ?……ふー。まぁいっか。ちょっとさ、お願いがあるんだけどさ、聞いてくれる?」
寛子 「ん?何?」
知花 「要先生ってさ、謎。だよね」
寛子 「は?謎……といえば、そうなのかな」
知花 「最近。っていうか、要がここの高校に来てからさー、常に話題で持ちきりなわけよ、女子の間では。
    それで、この前話題に上がったのが、プライベート!
    要は教師をやってなければ何をやってるのか!何が趣味なのか!彼女はいるのか!もうずーっとその議論なの!」
寛子 「そ、そうなの」
知花 「そこで、姐さんの出番ですよ。美術部はほとんど部員がおらず、なおかつある意味禁制の場。
    そこに君臨する女部長、赤星寛子。しかも、美大進学希望で放課後は要と話し放題!
    秘密を聞くなら彼女しかいない!いや、もう彼女に頼むしかない!…そういう話になったわけ!」
寛子 「なるほど……。って、えー!?」
ゆりえ 「(拍手)ほえー。寛子かっこいー!なんだか、女部長って響きからしてできる女って感じだよぉ」
知花 「でしょー?うん、だからそういうことなんで、一つ、寛子さんお願いできないでしょうか!」
寛子 「何を?」
知花 「だから、要の謎解き」
寛子 「なんでそれに協力しないといけないの?」
知花 「いや、さっき言ったとおりなんだけど、駄目?」
寛子 「駄目っていうかね、私、これから絵画教室なの。それで帰ったら模擬問題を解く予定だから、ちょっと……」
知花 「ガーン…!」
ゆりえ 「あー、ちーちゃん落ち込んじゃったぁ。寛子ー、ちーちゃん困ってるんだから助けてあげてよー。
     寛子しか頼れないから着てるのに」
寛子 「知らないわよ……」
ゆりえ 「わぁ。誰にでもお姉さんと慕われる寛子がちーちゃんを放置」
寛子 「………」
ゆりえ 「あ、要」
知花 「何!どこどこどこどこどこどこ!」
ゆりえ 「行っちゃった」
知花 「まじかー。という訳なんで、寛子さんやぁ、お願いできますかい?」
寛子 「い、いや…その…」
知花 「明日は土曜日。しかも第二土曜日。休みだよねー?絵画教室も休みだよねー?それに勉強は夜でもできる!」
寛子 「………ま、まぁ」


◆翌日 うどん屋

知花 「はい!やって参りましたー。なんとあちら、例のあの人が現れたことがあるというレンタルビデオショップです。
    今回はなんと、その店舗斜め前のうどん屋さんから中継でーす!リポーターはもちろん、この私。
    牧田知花が勤めさせていただきまーす」
ゆりえ 「わー、ちーちゃんすごーい。まるで本当にテレビに出てるリポーターみたいだねぇ」
知花 「へへー。どんなもんだーい」
寛子 「(ちゃんと断りたかった……)」
ゆりえ 「それで、要は本当に来るのかなぁ」
知花 「うーん、ここは来てくれないと話にならないよねー。
    これは、うちのクラスの子の情報だったけど、今度は寛子さんにも聞いてみようかぁ」
寛子 「えっ?いや、その、私……学外で会ったことないよ?」
知花 「いやいやいや!会ったことがなくても、趣味とか色々聞いてない?」
寛子 「趣味…ねぇ。美術の先生だし、絵画が好きだし……
    あとスポーツジムにも通ってるっていう話ならあったかなぁ。そうよね、ゆりえ」
ゆりえ 「うん。なんか最近は合気道じゃなかったっけ」
寛子 「だったかなぁ……」
知花 「あれ、ゆりえもそこそこ知ってるのね。スポーツジムってどこのスポーツジム?」
ゆりえ 「知らないよぉ?そこまで話しないもん、要」
寛子 「確かにね」
知花 「……ここでまさかの経路断絶か!しかしながら、まだリポーター牧田は負けません!
    なぜなら、リポーターの中のリポーターになるための入り口に立っているだけに過ぎないから!
    逆風こそが自分を奮い立たせる一つの方法!だからこそ、私は負けないのです!」
ゆりえ 「やっぱりかっこいいなぁ、私もちーちゃんみたいにならないと〜」
寛子 「それだけはやめてね……本当に」

――入店音

店主 「いらっしゃい。お客さん一人かい?人数は?」
「人数?1名で大丈夫です、はいー。席は自由で良いんですよね?」
店主 「おう、自由だ。空いてるから、どこでも好きなところに座っとくれ」
「はい。わかりましたぁー!……あれ?部長に……ゆりえ先輩??」
寛子 「!…喜戸くん?」
ゆりえ 「あ、喜戸っちだぁ。休みの日に会うなんて珍しいよね〜」
「やーっぱり、そうだった!いやぁ、なにやら似ている人がいるなぁって思ったんです!間違えてなくてよかったー!
   それで、ここでお昼ですか??お昼にしてはちょっと早いような気もしますが……あ!朝食にうどんでしょうか??」
寛子 「いやー……これにはちょっと……」
ゆりえ 「ご飯っていうよりデザートかなぁ?」
「なるほどなるほど、ここのぜんざい美味しいですからねぇー!そこんとこのチェックはバッチリですよ!
   なんたって、若い女性の知りうる情報くらい、知っておかなければならないですから!」
知花 「ねぇねぇねぇ、きみ!」
「はいっ?……あ、初めまして!先輩方のご友人でしょうかっ」
知花 「そうよ!それで、ちょっと質問なんだけど、もしかして美術部の子?」
「ええ、そうです!いつもこのお二人にお世話になっておりますっ!」
知花 「なるほどねー。でさ、要先生について知ってることがあれば教えてほしいんだけど、何か知ってることってない?」
「要先生ですかぁ?知ってることと言っても入学したばかりなのですが……。あ、そうですね!ありますね!」
知花 「え?それ、言って言って!」
「たった今、そこで見かけましたよ?」
知花 「まじかっ!」
ゆりえ 「おお!良かったね〜、ちーちゃん。情報源GETだねぇ」
知花 「おうよぅ!それでどこに向かってた?」
「十字路を右折したらある、リサイクルセンターの隣の大きな駐車場
   そちらに車で入っていったのを見ましたよー!買い物ですかね??」
知花 「リサイクルセンターかぁ。でもそこってそんなに大きな駐車場なかったしなぁー。…とすると、隣?」
ゆりえ 「隣って何があったっけ〜。寛子知らない?」
寛子 「うーん。確か黄色い建物だったよね。…あー、トイの森…?」
「ああ!」
知花 「それだっ!」
ゆりえ 「なるほどぉ。トイの森ならあったね〜」
「でも、トイの森っておもちゃ屋じゃなかったですかね?あれ…?」
知花 「まさか……まさかのスクープよ!!」
寛子 「す、スクープ?」
知花 「そうよ……私たちは世紀の瞬間に出くわしてしまったの……!これはもう心待ちにしている皆に連絡しないと!」
「おおお、面白くなってきましたねー!これは居座るしかありませんねっ!」
寛子 「……」
知花 「どーしたの?あーつまりね、要にもしかすると、隠し子がいるかもしれないということなの!もしくは、結婚予定の相手がいる!
    そうに違いない……!ああっ、こんなブラックなスクープを発見することになるとは、思いもよらなかった!」
ゆりえ 「ほえぇ。ということは、要、寿退社しちゃうのかなぁ」
「ええええ!?寿退社ですと!?」
寛子 「…こ、根本的に違うでしょ!」
ゆりえ 「だって、要、結婚しちゃうんだよ?」
寛子 「いや…あのね、結婚するにしても寿退社はないでしょ……。もしそうだったら、主夫じゃない」
ゆりえ 「ほえー主婦!」
知花 「主夫な要かぁ……」
要F 「おう、帰ったのか。夕飯なら出来てるぞ、さっさと手を洗ってそこに座れ」
知花 「なーんか、しっくりこない」
「確かに…。あ、でも、むしろ、要先生はもっとスパルタな感じですよね!」
要F 「飯!?おまえが作ればいいだろう。ほら、作る!…は?作り方がわからんのか。
   仕事に専念できても、家のことはさっぱりだな。あ?料理本の通りに作ればいいだろ、それでは駄目なのか。
   ……ったく、俺がつくるしかないな。まあ、黙ってみてろ」
ゆりえ 「あれれ、途中でスパルタじゃなくなったよ〜」
「むむ!?」
知花 「なにこのイケメン!」
寛子 「これは…要先生じゃない…よね」
知花 「いや、でも、これはこれで有よ!クラスの子が喜ぶに違いないわ!もしくは視聴者!
    うーむ、家庭を感じさせない要がまさかの家庭的…!いわゆるギャップにときめくってやつよ!!
    ……あっ、こんなことしてる場合じゃないわね、いますぐトイの森に行くわよ!」
「イエッサー!」
ゆりえ 「あいあいさぁ〜」
寛子 「ちょ、ちょっと待ってよ…」


◆数分後 トイの森 駐車場

「あれです!要先生が乗っていたのは!どうやらまだ戻ってきてないみたいですよ〜!どうします??」
知花 「―― く〜!リポーターの血が騒ぎ出したわぁ!スクープをとらえる瞬間ってのはこんなにも楽しいものなのね!
    そうねそうね、どうしようか!」
寛子 「それ、リポーターっていうか、既にパパラッチの域よね……」
知花 「パパラッチ!?人聞きの悪い〜っ!」
ゆりえ 「……寿結婚かぁ〜。そういや、結婚式のケーキって何味なんだっけ?」
「え、基本のホワイト、クリームと苺なんじゃないですか?披露宴の中継とか見てるとそういうのが多い気がしますし!」
ゆりえ 「なるほどぉ。普通のやつなんだねぇ〜」
寛子 「………」
知花 「……かっ、要が来た……!」
「おおおおおっ!」
ゆりえ 「ほえ〜、結構大きな荷物だねぇ。なんだろなぁ?」
寛子 「……わ、私関係ないから、帰……」
知花 「(服を掴んで)だーめ」
寛子 「う……」
知花 「ほら。キミ、カメラ!」
「あ、はいはいはいはい!」
知花 「撮り方は、こうね。こう。そうそうそう、そうやって構えて」
「はぁい!」
寛子 「……なんで持ってるの」
知花 「え、持ってるのって普通でしょう。はい、車を壁にして、そう、そうそうそんな感じ、そう」
「うむ!いい感じに取れま……ふぐっ!!」
「………何をしている」
知花 「か、要………」
寛子 「……!」
「なななな、なぜここに!」
「俺が聞きたいわぁ!」
「ひぃ!」
知花 「な、なんでここにいることがバレ…て…」
「ああ、それはそこでゆりえに会ったからだ」
知花 「ゆりえぇ〜!」
ゆりえ 「ほえ。だって、その紙袋に入ってるやつが気になってねぇ」
「はぁ。これか?教え子たちへのプレゼントだ」
知花 「?」
「プレゼントって俺たち…?ですよね?いやぁ、冗談を言わないでくださいよ〜!
   もう高校生にそんなぬいぐるみなんて要らないでしょう!」
「違うわ!昔の教え子だ!おまえらの教師になる前の!用事で久々に会うから、そのついでだ」
「昔…の?」
「そうだ。そもそも…この学校に来る前は塾講師をしながら、こども絵画教室に補助で入っていたんだが…
   そいつらは、その時に指導した教え子だな。なんだかんだで、まだ小2とかで幼いんだ」
ゆりえ 「そうなんだぁ〜。だから、おもちゃだったんだねぇ。それにしても、要の選んだプレゼント、なんだか可愛いなぁ〜」
「……そ、そうか?」
ゆりえ 「うん!いつ結婚しても全然大丈夫だね!」
「……は?」
寛子 「ち、ちょっと…」
知花 「(かき消すように)そうですね!いつ結婚してもおかしくはないですよね、先生!」
「け、結婚!?誰がだ」
「いや、だから要先生です!」
「お前には聞いてない」
「ぬわっ!すっぱり切り捨てられた!」
ゆりえ 「うーんとぉ、要先生が結婚するじゃないかって、ちーちゃんたちと話してたんですよ〜」
「なんで…いや、どこからそんな話が降ってきた」
知花 「そりゃもう、おもちゃ屋さんにいたことからの絶対に近い憶測です!」
「なんだそれは」
寛子 「とりあえず…、皆、変に考えすぎていただけみたいで…」
「お、赤星もいたのか。(周囲を見回して)おまえも大変だな」
寛子 「は、はぁ…」
「とにかく…な。おまえら、勝手な憶測をしたり、ストーキング行為はするな。
   俺はともかく、他の人間にやってみろ、逆鱗に触れたら何されるかわからんぞ」
知花 「じゃあ、その、これだけは聞かせてください!要先生は近々結婚の予定も主夫になる予定もないんですかっ?」
「ない!というか、主夫って誰が言い出した。(咳払い)まぁ、家庭に[こも]るなど、ストレスがたまってやってられんわ。
   それに、何のために俺が教師をやってると思ってる?おまえたちのような若い芽を、たくましく育てる事を生きがいとしているんだぞ。
   それがどれだけ毎日の生活に影響を与えてると思っているんだ。
   ――確かに指導者の立場ではあるが、いかにおまえたちから学ぶことの方が多いか…」
寛子 「先生…」
「………お、おお……」
知花 「――――」
ゆりえ 「……ほわー…!要。やっぱり要だよぉ!」
「ん?」
ゆりえ 「要はやっぱりすごい先生だぁ…!」
「(鼻で笑う)そうか。卒業後もそう言われる教師でありたいな」
ゆりえ 「大丈夫だよ!要だもん。すっごく要に教えてもらってるもん」
「そうなのか。それは嬉しいな。じゃあ、俺はこども絵画教室に顔を出してくるから、また追ってくるのはやめろよ。
   教師はいつでも教師である必要があるんだから、表面上の休日くらい息抜きをさせてくれ」

――要、車に乗りエンジンをかける

寛子 「あの、要先生。色々とすみませんでした」
「……まだ若いからな。ある意味仕方がないってやつだ。じゃあ、次の模試頑張れよ。
   ――おまえたちも喜戸[きど]以外は受験生だろ、勉強しろよ。では」

――要の車が走り出し、去っていく

「……な、なぜか、声が出ませんでしたぁぁ!あれが先生の本気ですか!?」
寛子 「本気って…。(時計を見て)あ、もうお昼じゃない。そろそろ解散しない?」
ゆりえ 「ふむぅ。お腹すいたもんねぇ。平岩さんのロールケーキ買って帰ろうかぁ」
寛子 「まぁ。そうしたら?じゃあ、知花も解散ね」

――知花、ぺたりと地面に座り込む

寛子 「!」
ゆりえ 「ちーちゃん!」
「ど、どうしました??もしかして、張り込んでて疲れたとかでしょうか!
   それなら俺が担いで送って帰りますよ!女性は体を労わるべきですから、もちろん断る必要は……!」
知花 「……お、お」
ゆりえ 「お?」
知花 「お父さん!!あれはお父さんだわ!!」
寛子 「はぁっ!?」
知花 「もうお父さんしかありえない!私、こうしちゃいられない!
    どうやったら要の養子になれるか調べてくる!!リポーターの夢はその次よ!じゃっ!」

――すごい勢いで知花が帰っていく

「か、軽やかに去っていかれたぁ!」
寛子 「あれが軽やかって…」
ゆりえ 「ちーちゃんやる気満々だったね〜。どうやって養子になるんだろう。ちょっと面白そうだよね」
寛子 「何が…」


泉M 「そうして、後日要先生は、我が校のお父さん的存在だという話が女子の間で広まったそうです。
     いやぁ、人気者の先生って大変ですよね!羨ましい限りです!」
「(な、なぜか…一部の生徒からの視線が痛いような……)」




end of the story.

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