ろこもこゆーすふる〜美術部の日々〜
第1話 部員をください
new→《当台本を利用してくださってる方へ》
垣本 ゆりえ(かきもとゆりえ)
女 高校3年生
明るく元気なスポーツ系天然娘。
中学時代は陸上部のキャプテンとして県内の大会を総なめにするほどの実力があったが
ひょんなことから美術部に入部したらしい。
大辰 咲乃(おおたつさくの)
女 高校1年生
今年の新入生。
どちらかというと内気でおっとりしており、背が小さい。
※2:4:0台本のときは、女の子と被り役です
赤星 寛子(あかぼしひろこ)
女 高校3年生
美術部部長。基本的には、真面目な姉さん気質。
某有名芸術大学を目指し勉学に奮闘中。
絵は天才的に上手いといえばそうだが、色彩センスだけは素人が見てもまるでない。
己ノ瀬 來(みのせらい)
女 高校2年生
本校一の美人。
色沙汰でいつも何かしら悩みを抱えている。そのため部では絵を描きながら
ストレス発散をしている。普段はクールだが、感情が高ぶると部内限定で甘えん坊になる。
しかし、考えていることが常に斜め上ではある。
新垣 博哉(にいがきひろや)
男 高校2年生
次期部長候補。見た目は爽やかな真面目な青年。
恐らく部で一番の常識人。しかし、女性陣の勢いに毎度負けている。
喜戸 泉(きどいずみ)
男 高校1年生
今年の新入生。パワフルで熱い青年。
本人は至って真剣なのだが、よく周りには変人扱いされる。
実はそれには彼の趣味に問題があるらしい…
※2:4:0台本のときは、手芸部部長、男の子、司会、教師が被り役です
男2・女4・不問0 : 博哉
泉・手芸部部長・男の子・司会・教師
ゆりえ
咲乃・女の子
寛子
來
男3・女5・不問0 : 博哉
泉/司会
手芸部部長・男の子
ゆりえ
咲乃・女の子
寛子
來
女の子/教師
2:4:0台本用
3:5:0台本用
<キャスト>
垣本 ゆりえ(♀):
大辰 咲乃 (♀):
赤星 寛子 (♀):
己ノ瀬 來 (♀):
新垣 博哉 (♂):
喜戸 泉 (♂):
<キャスト>
垣本 ゆりえ (♀):
大辰 咲乃 (♀):
赤星 寛子 (♀):
己ノ瀬 來 (♀):
女の子/教師 (♀):
新垣 博哉 (♂):
喜戸 泉/司会 (♂):
手芸部部長/男の子(♂):
◆美術部部室
――戸を開ける音
寛子
「……お疲れー」
ゆりえ
「あー部長さんお疲れッス! なんか元気ないよねーなんでー?」
寛子
「…部長さんって呼び方やめて、ホント気持ち悪いから。
というか、なんでってあんた分かって言ってるでしょ?進学説明会があったんだよ進学説明会」
ゆりえ
「しんがく…。ああ、あれか。大変だねぇ。私、進路就職だから関係ないもんなぁ」
寛子
「関係なくないでしょ、同じ時間に視聴覚室で就職説明会もあったのに出てないの?」
ゆりえ
「へ?あちゃー、忘れてた」
寛子
「…なんでこんなに能天気でいられるかな、だいたいあんたは…(くどくど)」
――戸を開ける音2
博哉
「お疲れ様ですー」
ゆりえ
「あっ博哉〜!丁度いいところに!」
博哉
「っと、ゆりえ先輩なんですか!?突然抱きつかないでくださいよ!」
ゆりえ
「ハハハッ、ごめんね〜!寛子に説教されそうになっちゃってさ〜」
博哉
「んーそれはいつものことじゃないですか」
寛子
「別に私は当たり前のことを言おうとしたまで」
ゆりえ
「えぇー」
博哉
「あ、そんなことより部長。明後日の部活動紹介はどうしますか?」
寛子
「…完全に忘れてた」
博哉
「あれ、珍しいですね」
ゆりえ
「寛子だってダメダメじゃん」
寛子
「うるさい。…んーととりあえず、絵の方は仕上がってるからいいとして」
博哉
「ステージで何を話すか、ですね」
寛子
「そう、それなのよ。クソ真面目に美術部は伝統のある部活で…
なんて話したら、きっと1年生引いちゃうと思うし、だからといって面白おかしくっていうのは微妙だし」
博哉
「流石に今時、伝統のある部活で…とか話す部活は極稀だと思いますよ」
ゆりえ
「だよー」
寛子
「じゃあ、どう面白おかしくするの?」
――戸を開ける音3
來
「…お疲れ様ですー」
寛子
・
ゆりえ
・
博哉
「お疲れ様(です)ー」
來
「……ぐすっ」
ゆりえ
「來ちゃん?」
博哉
「み、己ノ瀬…。部長、これはまさか…」
寛子
「まさかっていうか、見れば分か…」
來
「(号泣)」
寛子
「あーわかった、わかった。今度は何?城川君?」
來
「違うんです〜、城川先輩とは決着がついたんですけど……博哉がぁ」
博哉
「俺!?」
ゆりえ
「今度の恋愛問題は先輩じゃなくて身内かぁ、大変だね〜來ちゃん」
博哉
「え、え、違いますって!」
寛子
「うーん、私の知ってる男子の中では一番まともだと思っていたのにね」
博哉
「部長まで酷いですよ!なぁ、己ノ瀬、俺が何をしたっていうんだ!」
來
「……だって、博哉にメールしたらすんごく冷たい返事しかくれないし…」
博哉
「冷たいって、そんな内容のメール送ってたか?」
來
「…そうだよー。寛子先輩とゆりえ先輩ならどっちがタイプなのか聞いたら
どっちもタイプじゃないって素っ気無く返すし、絵文字も全然使ってこないし
文化祭で『女装・男装喫茶』提案したら絶対したくないっていうし
それで…絵文字も全然使ってこないし」
博哉
「……」
ゆりえ
「せめて、どっちがタイプかくらい教えてくれてもいいのにね〜」
寛子
「…それは関係ないような。
とにかく來は博哉が絵文字を使ってくれないことに関して落ち込んでいる訳ね」
來
「そうじゃなくてー…冷たいんです。
せっかく私が1時間考えてうったメールをたった二言くらいでしか返してくれなくて」
寛子
「……えーと、來?」
來
「…はい?」
寛子
「あなたが言いたいことは、なんとなーくだけど解った。だから、メールの文章を考えたり
色沙汰
[
いろざた
]
に悩んだりする時間を部活動紹介をどうするかに充ててくれない?」
來
「……部活動紹介ですか。(鼻をかむ)わかりました、そうします」
* * *
ゆりえ
「博哉〜、來ちゃん通常モードに戻ったよー端っこで小っちゃくなってないでこっちにおいで〜」
博哉
「――――……わ、わかりました。
ええっと、気を取り直して…部活動紹介を面白おかしくするかどうかでしたよね?」
寛子
「そうそう。でも私人前で話せても、ユーモアのあることなんて全く話せないんだけど」
ゆりえ
「私が一発芸でもして笑わせようか?そういうのなら得意だよ!」
博哉
「一発芸は確かに場合によっては盛り上がりますけど、ちょっとそれとは違いますね」
ゆりえ
「違うの〜?じゃあ、仮装でもしてみる?」
寛子
「は?」
博哉
「え?」
來
「仮装ですか。興味ありますね」
ゆりえ
「でしょ!」
寛子
・
博哉
「……」
來
「でも、仮装といっても色々じゃないですか。
どういったものにするんですか?…無難なところで着ぐるみとかですか?」
博哉
「無難…?」
寛子
「着ぐるみ…?」
ゆりえ
「(博哉と寛子の話が聞こえないまま)確かに着ぐるみあたりが定番かなぁ」
寛子
・
博哉
「……!」
來
「ですよね。それで、どこから借りてくるんですか?」
ゆりえ
「いちおう演劇部と手芸部に知り合いがいるから、そこをあたろうかなぁって」
來
「それなら、良さそうですね」
博哉
「……はっ!って、2人とも勝手に話を進めないで下さい。…危うく受け入れそうになってしまった」
來
「別にいいじゃない。美術部ってだけで影薄くなりがちだから目立った方が」
博哉
「いや、そういうことじゃあ…」
寛子
「違うわね。…ちょっといい?ひとつ気になるんだけど…演劇部はともかく
なんで手芸部に着ぐるみがありそうなの?」
ゆりえ
「あれ?着ぐるみって手芸部で作れないんだっけ…?」
博哉
「確かに部長の言うことは一理ありますね…、手芸部では作れないとは言い切れませんが
普通作ることはないはずです。……なのでこの案はなかったことに…」
來
「あ、確かにそうかも」
寛子
「そうよ。そもそも手芸ってそんな大掛かりな物を作るようなことじゃないしね」
ゆりえ
「そうなんだ、私てっきり手芸部でも作ってるんだと思ってた。この前部室の前通ったら
うちのクラスの亜里沙と手芸部の部長がそれっぽいの抱えてるの見たんだけどな」
來
「手芸部の部長…ってあの黒縁メガネで色白で細い男の先輩ですよね?意外です」
ゆりえ
「ね、意外でしょ〜?結構重そうな着ぐるみ抱えてたんだよね。
噂によると、普段は小さめの脚立も運べなくて見兼ねた隣の女の子が
代わりに運んじゃうくらいらしいのに」
* * *
◆イメージ
女の子 「ちょっと…ねぇ、ちょっとぉ。湯越君?何ぼーっと突っ立ってんの?
女子だけじゃその脚立、小さめだけど全部運べないから手が空いてるなら手伝ってよー」
手芸部部長 「あの……僕……」
女の子 「ん?どうしたの?」
手芸部部長 「実は……その……脚立……」
女の子 「……脚立?が何?」
手芸部部長 「あ、いやぁ……なんでもないです」
女の子 「言い訳なんてしないでよね。さ、早く運んで!」
手芸部部長 「……うっ、よ、よい…っしょ……。んー…!んー…!」
女の子 「……!」
手芸部部長 「んー…!!………わぁぁぁっ!」
――脚立をものすごい勢いで倒す音
女の子 「危ない!!何やってんのよー!?」
手芸部部長 「ご、ごめん…」
女の子 「謝るのはいいから、ほら、保健委員に言って!あっ、脚立は私が運ぶから!」
* * *
來
「そ、そこまでなんですね」
博哉
「でも、2人掛かりで運ぶんでしたら、いくら力持ちじゃないとしても普通に運べそうですけどね」
寛子
「ミステリーねぇ。……って、またこのノリに飲み込まれてたわ、私……。
本当に部活動紹介どうするの私達…」
ゆりえ
「だから着ぐるみじゃないとしても、仮装したらいいと思うんだけどな」
寛子
「はぁー…なんであんたは仮装に
拘
[
こだわ
]
るの…!」
ゆりえ
「だ、だって暗いとか目立たない部活って思われたくないもーん」
博哉
「ゆりえ先輩……そんなに仮装したいのなら一人でやってくださいよー。
俺はその辺りに関しては目を
瞑
[
つむ
]
りますから」
來
「………私は皆の仮装、見たいなぁ。特に博哉は絶対見ときたい。去年見逃したんだよねー」
ゆりえ
「え、來ちゃん去年って何?」
來
「んと、博哉がおね…(口を押さえられる)」
博哉
「己ノ瀬、言 う な。わかったな」
來
「……んんん!」
博哉
「こら」
寛子
「(こっそり)なるほど、あれね」
來
「……けほっけほっ。ということなので、仮装はしましょう」
ゆりえ
「しよーっ!ほら、これで2対2だぞ!これで文句は言わせないよー?」
寛子
「半数で言われてもねー。まあ、さっき博哉がしたい人だけすればいい言ってたし、それでいいか」
來
「正直なところ腑に落ちないですけど、そうします」
ゆりえ
「ちょっと物足りないけど、いっか!」
* * *
來
「あ、寛子先輩。それで、結局ステージで何話すんですか?」
寛子
「そうだった…!あーもうあんたたちが訳わかんないこと言い始めるからぁ…」
ゆりえ
「
至極真面目
[
しごくまじめ
]
だよ私たち〜」
博哉
「(もう嫌だ。この部……)」
* * *
◆翌々日 部活動紹介 ステージ
――拍手
司会 「以上、音楽部の紹介でした。有難うございました。
次は文化系の最後になります。美術部の皆さん、よろしくお願いします」
――拍手
◆舞台裏
來
「(ひそひそ声)先輩…、ゆりえ先輩。私たち呼ばれちゃいましたよ」
ゆりえ
「(ひそひそ声)ちょ、ちょっと待って。い、今すぐ出てくるから!」
寛子
「(ひそひそ声)ゆりえ!何やってんの!?」
博哉
「(ひそひそ声)だから早めに準備しておいてくださいってあれほど…」
◆改めてステージ
司会 「………あれ、美術部の皆さん?まだ準備は整っていないんですかね」
ゆりえ
「……だっ、大丈夫です!美術部いけます! I'm O.K.!」
寛子
「(小さくツッコミ)I'm O.K.!って何!」
司会 「あ、準備は出来てますね?では、美術部の紹介です、どうぞ」
――再度拍手
ゆりえ
・
寛子
・
博哉
・
來
「こんにちは」
――生徒たちのざわめきが聞こえる
女の子 「…………何だろう、あれ。着ぐるみとコスプレ?」
男の子 「……………ど、ドラ○もん…?いや、違うか……隣の人の格好は可愛いけど…」
1年生生徒(
咲乃
・
泉
、他) 「……こんにちはー」
寛子
・
博哉
「(明らかに引いてる……)」
寛子
「…美術部部長、3年赤星です。私たち美術部は毎年開催される美術展での優勝や
隔月に行なわれる市のボランティア絵画コンクールでの高評価を目指して活動しています。
また、それだけでなく文化祭や体育祭など学内でもこういった作品を発表しています」
――作品を見せる
博哉
「このようにレベルの高い目標を立てていますが、もちろん初心者も大歓迎です。」
來
「私も初心者でしたが、冬の美術展では入選10作品に選ばれました。
なので、絵が全く書けないと思っている人でも全然大丈夫だと思います。
平日放課後やっているので…皆、来てね」
ゆりえ
「(着ぐるみの中から)え、えっとぉ」
男の子 「ちょっとあの先輩可愛くねぇ?ちょっと見学行こうかな」
女の子 「あの絵綺麗、よくああいうの描けるよね〜」
――勢いよく着ぐるみの頭が取れる
ゆりえ
「私もずっと絵とは無縁だったけど、結構上手く描けるようになりましたよー!マーブリングとか!」
――着ぐるみの頭がステージから落ちて生徒に当たりそうになる
女の子 「きゃあぁぁぁぁ!!」
ゆりえ
「……しまったぁぁぁぁ!ごめんなさ―――――い!!」
教師 「垣本――何やってんだぁ――――――――――!!」
* * *
◆翌日 美術部前廊下
來
「聞いているだけなのにすごく疲れた…」
ゆりえ
「はぁ……」
寛子
「私の方がため息つきたいよ……。あんたのせいで1週間活動禁止で
勧誘活動さえできなくなったじゃない、ポスターも貼ったらいけないって言われたし」
博哉
「ゆりえ先輩、こんなことになるから反対したんですよ。あんなに大きな頭だとバランスを崩すって」
ゆりえ
「いや、でもあれ可愛かったしさぁー」
寛子
「あのドラ○もんもどきが?」
來
「もどきじゃないですよ、ドラ○もんですよ」
博哉
「いや、あれはどう見てもそうは見えないような……でも、部長
この1週間どうしましょうか?このままだと今年新入部員ゼロになってしまいますよ」
寛子
「そうよねー…。あ、活動禁止でも部室が使えないだけだから、私の家に集まる?」
ゆりえ
「あーそれいいね!その間にポスターとか描いたりしようよ!」
博哉
「そうですね。その方が有意義ですね〜」
咲乃
「……えっと、あの、び、美術部の方ですよね?」
來
「え?うん、そうだけど」
咲乃
「良かったぁ…。んと、私、その、美術部に入部したいんですけど……」
來
「ほ、ホント?」
博哉
「え、嘘。部長、新入部員入りましたよ…!?」
寛子
「突然すぎて、何がなんだか…ええと、違う部活と間違えたわけじゃないよね…?」
咲乃
「あ、はい。もちろんです」
寛子
「それじゃあ、入部届けを書いてもらわないとね。
と、言っても今は休部中だからまだ提出はできないけど…そういえば名前は?」
咲乃
「えっと、私、1年B1組の大辰 咲乃と言います」
寛子
「大辰さんね、私は部長の…」
――廊下の向こうからこちらに走ってくる足音がする
泉
「(呼吸が荒い)…あの!美術部さん!!」
ゆりえ
「へ?」
寛子
「ええ?」
咲乃
「……?」
博哉
「(どこから現れたんだろ…この人…)」
泉
「あー…美術部の皆さんで間違いないですよね?俺、喜戸って言います、喜戸 泉です!
……そ、その突然で申し訳ないんですけど……そちらの先輩!」
來
「……私?」
泉
「そ、そうです!それで…その……」
來
「…うん」
泉
「昨日の先輩の姿に大変興味を持ったので、また拝ませ…いえ、入部させてください!!」
ゆりえ
・
寛子
・
博哉
・
來・
咲乃
「…………!!!?」
To be continued.
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