ハーモニクスは永く

 ―Harmonics are long.―




new→《重要:当台本を録音利用される方へ》




アリサ 女 19歳
思い悩む女。人間不信。
かつては明るく誰にでも笑顔を見せる子であったが
日に日に自分の周りから人が消えていったことから、病むようになり
いつからか自身を傷つけるようになった。
心の支えは楽器の音と小鳥のさえずり。


人攫い 男 20〜30代
作中では名を明かさない人攫い。
強面で、まさに悪人という雰囲気があるが、それに反して非常に純粋な言動がある。
アリサにしか聞こえなかったはずのブラウニーの声が聞ける。


ブラウニー 不明 ??歳
七色の声で話すアリサの"理解者"。決して小さな女の子の声では話さない。
情緒不安定なアリサのために、毎日必ず音楽を奏でる。
淡々と話すが、それは余裕からの冷静さかもしれない。


ベネット 男 25歳
自らの欲のために、アリサを引き取った父方の親戚。
普段は好青年だが、実際は金の亡者。神経質。
アリサになるべく関わりたくないと思っている。
ブラウニーの存在を薄気味悪いと信じていない。





※注:スタンレイはアリサの父









3:1:0 or 2:1:1台本(所要時間約20分)

<キャスト>
アリサ      (♀):
人攫い     (♂):
ブラウニー(♂or不):
ベネット     (♂):
















◆1ヶ月前 埋葬式

ベネット 「スタンレイさんが残した、人を引き寄せない女の子?あはは、どんな子ですかその子は。
      ……あー、まぁ仕方ないでしょう、年頃の女性のただの人見知り……。
      僕に任せてください、育てて見せますから、"ご安心を"」


アリサ(タイトルコール) 「ハーモニクスは永く」



◆現在 スタンレイの持ち家(アリサとベネットの家)

ベネット 「(ノック)アリサ、入るよ。お腹すいたでしょ?」
アリサ 「……」
ベネット 「すいてると思うんだけど……」
アリサ 「……すいてない。でも、どうしてもって言うならテーブルに置いてて。気が向いたら手をつけるわ」
ベネット 「……君は、また食べないのか。僕が知る限りでは、君はほとんど口にしていない。パンの欠片すらも、だ。
      僕は親戚を代表して、アリサ、君を引き取ったばかりなのに、それじゃあ本当にただのお荷物だ。
      なんのための厚意なのか分からないじゃないか」
アリサ 「……ベネットおじさん」
ベネット 「なんだ」
アリサ 「私は……1人になりたいの。お願いだからそっとして」
ベネット 「……。アリサ、またブラウニーと会話するんじゃないだろうな?
      何者かもわからない相手と四六時中、接していて、頭がおかしくならないなんて気持ちが悪い」
アリサ 「とうにおかしくなってるわ、頭なんて。だから出て行って頂戴。ここはいちおう、レディーの部屋なの。
     紳士とおっしゃる貴方がそんな不潔な靴でズカズカと入るなんて、恥ずかしくはないの……?」
ベネット 「……ふん!」

――部屋から出て行くベネット

アリサ 「…………」
ブラウニー 「アリサ」
アリサ 「……ブラウニーね?」
ブラウニー 「空気が濁っているような気がするから、窓を開けてくれないか」

――アリサ、無言で窓を開ける

ブラウニー 「ありがとう。お礼に、爽やかな朝にピッタリな曲を聞かせてあげよう」

――モダンピアノが独りでに鳴り出す

アリサ 「シューマン……『見知らぬ国と人々について』。そうね、朝には合っているかもしれない……」
ブラウニー 「だろう?」
アリサ 「……でも、これは……、自分の心を読まれているようで嫌だわ」
ブラウニー 「それでは、この曲は今のアリサに向けてはならないのだな」
アリサ 「……」
ブラウニー 「そうだな、どうするか」

――演奏が曲の途中とまる

アリサ 「……」
ブラウニー 「……」
アリサ 「気を悪くしたの?」
ブラウニー 「……来客だ」
アリサ 「?」

――窓の方へ振り返ると見知らぬ男が立っている

アリサ 「………誰?」
人攫い 「よう、嬢ちゃん。申し訳ないが、こちらから入らせてもらったよ」
アリサ 「(ひどく人攫いに対して怖がる)」
人攫い 「そんな怯えた顔をしないでくれよ。せめて普通の表情ってぇのしてくれねーと、俺は困る。
     ……確かにここから侵入されちゃあ、当たり前か?」
ブラウニー 「アリサ、ベネットを呼ぶのだ。こいつをつまみ出せ」
人攫い 「……?アリサ?お前はアリサっていうのか。なるほど、アリサっと……」

――紙にメモをとる人攫い、怯えながらも人攫いを見ているアリサ

ブラウニー 「こいつは……私の声が聞こえているらしい……。ならば、早い。ここから立ち去ってもらおう」
人攫い 「……なっ、なんだ!?み、耳がっ………」
ブラウニー 「その耳鳴りが苦痛ならば、今すぐ立ち去れ、今すぐにだ」
人攫い 「くっ……、そ、それは……、できないお願いだな、透明人間。いや、ポルターガイストとか?」
ブラウニー 「私を化け物扱いするな、侵入者。おとなしくしろ、そうすればそれ以上のことはしない」
人攫い 「うっ……!俺は、別に……その娘に危害を加える気はない!だか…ら、やめろ…!」
ブラウニー 「本当か」
人攫い 「本…当……だ……」
ブラウニー 「(ため息)」
アリサ 「………ブラウニー、もうやめてあげて。彼は何もしないわ」
ブラウニー 「しかし……」
アリサ 「……私が万が一殺されても悲しむ人なんていないわ。だから、もし私に殺意があるなら殺って頂戴」
人攫い 「(耳鳴りが開放されて)……はぁっ………。どうも……。おまえはアリサというらしいな……。
     俺は、今日、アリサを攫いに来たんだ。依頼……でな。なんともまぁ、えらくべっぴんさんだな……その顔の傷が勿体無い。
     流石、お偉いさんの依頼だけある……」
アリサ 「……依頼?」
人攫い 「ああ、依頼だ。俺は人[さら]いを生業[なりわい]としているんでね。……なぁに、他に何も奪わないよ。
     アリサ、おまえを攫って依頼者に手渡す、たったそれだけのことさ」
アリサ 「……私はどこへ攫われていくのかしら」
人攫い 「さぁてな。依頼者が依頼者だけに、衣食住には困らないだろうよ。
     もしかしたら、そっちに行った方がおまえにとっては幸せかもしれねぇが
     反対にひどい仕打ちを受けるかもしれない。……これは運だな」
ブラウニー 「保障はないということなのか」
人攫い 「………。まぁそうなんだが、このさっきから脳裏に響く声はいったい誰だ?しかも、声がいくつもある」
アリサ 「……あなたにも聞こえているのね」
人攫い 「?聞こえるのは変なのか」
アリサ 「今まで、私以外には聞こえていなかったわ」
人攫い 「おー。そいつは面白いな。傍から見れば、精神がイカレちまった危ない野郎だな。で、こいつの本体はどこにあんの?」

――モダンピアノから英雄ポロネーズが流れ出す

人攫い 「……?お、おいおいおいおい………!まさか、そのピアノとか言わないよな?」
ブラウニー 「……そのまさかだ」
人攫い 「なっ……!ふ、不思議なこともあるもんだな……なんて呼べばいいんだ?呼び名くらいあるだろ、ピアノ君」
ブラウニー 「………」
アリサ 「ブラウニーよ」
人攫い 「ブラウニー、ねぇ。ピアノの妖精だったりするのかぁ?」
ブラウニー 「私は私だ。そのようなものたちと、同等の扱いを受けたくはない」
人攫い 「変なやつ。いや、変なピアノだな。それに、俺らみたいな人間より人間らしくて羨ましいよ」
ブラウニー 「……」
アリサ 「人間…らしさ……」

――ピアノの演奏がとまり、一時的に静かになるが、激しいノック音が響く

人攫い 「……ん?まずい、誰か来た。ブラウニーちょっと下、借りるな」
ベネット 「(ドアを開けて)おい!またピアノか!ピアノは僕がいないときに弾けと言っているのが分からないのか!?
      くぅぅぅ……あの音色を聞いただけで虫唾[むしず]が走る!何か、僕を吸い取っていくかのようなこの感じ
      おまえは僕に何の小細工をする気だ!」
アリサ 「……私は……何もしてないわ」
ベネット 「う……嘘だ!アリサ、君は嘘つき、大嘘つきだよ!僕がこの家と君を引き取ってから
      取引先がダメになるわ、婚約者が行方不明になるわ、商売も生活も全てが散々だ!それもたった3週間程度で!
      君は僕に呪いでもかけて喰らう化け物か何かか?え?」
アリサ 「………」
ベネット 「……イエス、ノーも言えないのか。なら、イエスだな!明日、知り合いの霊媒師を呼んでくるから覚悟しておけ!!
      そしたら、僕の快適な生活が再び戻ってくる!それまでこの部屋から一歩でも出てみろ
      僕の方こそ、君を呪ってやる!!アーハッハッハッハ!」

――激しくドアが閉まる

ブラウニー 「生活のためと、あいつを家に入れておいたが……もう限界が来たようだ」
人攫い 「限界?」
ブラウニー 「そう、限界。あの男は精魂尽きて、近々消えるだろう」
人攫い 「消えるって……」
ブラウニー 「別に呪いではないよ。あいつが欲望の塊だから仕方がないのだ」
人攫い 「はぁ、そうか。じゃあ俺もさっさとあの世に行っちまおうかな」
アリサ 「………貴方は、ダメ…………」
人攫い 「いいだろ?家族もいなけりゃ、慕う知人も一人もいない。ただ、俺が手にしているのは仕事の依頼と、金だけ。
     生活には何の不自由もないが、これじゃあ生きていても虚しいもんだ」
アリサ 「………(咳き込む)」
ブラウニー 「アリサ、大丈夫か」
人攫い 「アリサ!」
アリサ 「………いつもの…発作よ……。大丈夫、私は死ねないもの」
人攫い 「そんなに痩せ細っているのにか…?」
アリサ 「ええ。自分を[めっ]してしまおうとする度、何かが必ず止めるの。
     ブラウニーだって私を止める……、自分を傷つけても何の意味もないって……」
人攫い 「……」
アリサ 「ある日のことよ…、私、知ったわ。私は人であって人ではないと……。
     幼かったあの頃は、人と接することが楽しくて仕方なかった。
     でもね、私と仲良くなったら必ずその子は行方不明か、原因不明の病に侵されてしまった」
ブラウニー 「……」
アリサ 「まだ知らなかったからお見舞いに診療所に行ったの。……そしたら、どうなったと…思う?」
人攫い 「どうなったか…って…」
アリサ 「……回復の見込みがあった患者が一斉に絶命したの……」
人攫い 「………」
アリサ 「……ねぇ、信じられる?明日、明後日には、退院するって子が珍しく8人もいたの。
     (狂い始め)それが、突然心肺停止、脳死……」
人攫い 「……」
ブラウニー 「アリサ、興奮してはならない、それでは、もっと苦しくなる」
アリサ 「……だって、だってぇ。(狂ったように叫ぶ)ああああああああああああぁぁぁ!!」
ブラウニー 「落ち着きなさい、落ち着きなさい。それは解決できることではない……今はただ、懸命に耐えるのだ」
アリサ 「ああああああああああああぁぁぁ!………はぁっ……(テーブルに伏せる)」
人攫い 「……自分のせいで、明日生きるはずだった人間を殺してしまったと言いてぇのか!」

――伏せたまま、肩で息をしているアリサ

人攫い 「……なぁ、それは、知っていてやった訳じゃねぇだろう」
アリサ 「(軽く咳)……そう…かもね。なのに、私はまるで幸せを得たかのように、顔色が良くなり
     肥え、満たされ、腕の擦り傷も癒された…」
人攫い 「ん?それはどういうことだ?」
ブラウニー 「つまり……、彼女は『欲』を欲する者なのだ」
人攫い 「『欲』を欲する……?『欲』がアリサには必要っていうのか」
ブラウニー 「そう。あくまでも見てきた私の空想でしかないのかもしれないが
        彼女は、他者の欲によって生きているとしか思えないのだよ」
人攫い 「それは、どんな欲でも良いってぇのか?」
ブラウニー 「恐らくそうだ。そのアリサが言っていた診療所での原因不明の死には、もう一つ話がある……。
        生を放棄した、医師にも見捨てられた人間が植物状態から目覚めたそうだ」
人攫い 「………。死にたいという欲を吸い取ったのか、信じられない…。
     そもそも、ブラウニー、お前の声が聞こえるのも未だに信じられねぇけどな。
     ……!もしかして、俺の欲も吸い取ってるのか、アリサは」
アリサ 「………どう、かしらね……吸い取っていてもおかしくはないもの。そのうち、貴方も滅びてしまうかもよ」
人攫い 「それなら、痛みや苦しみもなく、奇術みたいにパッと消してくれよ。
     そしたら、その分アリサは満たされる。悪い話じゃあないだろう」
アリサ 「……わ、私は……私は…」
ブラウニー 「私は一向に構わないが…、アリサも消えたいのだ。協力はできないだろうな。それにおまえは、生業はどうした」
人攫い 「俺は、普通だったり、苦しむような死は嫌なんだよ。
     [とこ]での永眠だったり、ナイフで身体を抉られることによる大量出血死…。そういう死を迎えるくらいなら
     初めからなかったかのように消えてぇ。だから、新しい死に方がわかったから、生業なんて良いかなぁってさぁ」
ブラウニー 「……」
アリサ 「……」

――物凄い音をたて、ベネットが入ってくる

ベネット 「(荒い息で)ハーッ、ハーッ……。おい、アリサ!今日は何だ?何の日だ?何様のつもりだ!?僕をどうするつもりだ!?」
アリサ 「……!」
人攫い 「……!」
ブラウニー 「(不敵に)……今日が、最後か」
ベネット 「なぁ?僕の顔がボロボロだ……。こんなこと初めてだよ、綺麗に剥がれていくんだぁ……。
      おかげで鏡を見れなくなったよ……。ああ、醜い、醜い…僕……」
アリサ 「……よ、寄らないで……」
ベネット 「ウルサイな!!こんな僕にしたのは君だぁ……。せっかく、[かくま]ってやったのに、このざまだよ……。
      君は恩人であるはずの僕に、呪いをかけた。それはそれは、重い罪だぁ……」
アリサ 「わた…しのせいじゃない………」
ベネット 「黙れ!!君じゃなければ誰だと言うんだ!?君だけが知るブラウニーとやらかぁ!?
      ………ははぁ?なんだぁ、ネズミが1匹忍び込んでいるじゃないか……」
人攫い 「……」
ベネット 「(目を凝らして)ほぉー?君は……今朝追い返した男じゃないかぁ……。アリサを奪って売りさばきたい等とほざいた……」
人攫い 「売りさばきたいなんて言ってねぇ!……これは、仕事だ!」
ベネット 「へえ、人攫いが正当な仕事なのかい……。呆れた……。
     それじゃ、君にアリサは渡さないよ………。彼女には巨額の遺産がかかっているからねぇ」
人攫い 「く……」
ブラウニー 「なるほど、そのせいでアリサが一気に欲望を吸い取り始めたわけか。道理でいつもよりスピードが早い。ん?」

――アリサの顔色が良くなり、みるみる"満たされて"いく

アリサ 「……満たされて……きたわ」
ベネット 「……!?うぉぉぉぉぉぉ……身体が!身体が!とけ、溶ける!僕の身体が――――!!」
アリサ 「……」
ブラウニー 「今まで見た中でも酷い吸い取られ方だな」
ベネット 「くぅぅぅぅ!ま、待ってくれ…!き、きききき君のせいじゃないよ!僕が悪かった!僕が悪かったから!
      僕を元に戻してくれ!そしたら、悪口ひとつ言わないから!何もしないから!許してくれ!頼む!」
アリサ 「ベネットおじさん……」
ベネット 「な、なんだい……?」
アリサ 「私は引き取られる前も、その後も、たった一度も一緒にいて安心したことはないわ」
ベネット 「そ、それは悪かったな……、僕は一人っ子だから、女の子の扱いが下手くそなんだぁ……ぐぅはぁ…!!」
アリサ 「ごめんなさい…。私は力を加減できないの。それに、どのような欲でも吸い取ってしまう……
     哀れな能力を持ってしまった人間なの……」
ベネット 「化け…もの……めぇ……!!やめろぉぉぉ!!」
人攫い 「………吸い取られるというより、これは……」
ブラウニー 「怒りか」
人攫い 「怒り……。アリサは怒っているのか……」
ブラウニー 「おまえのために怒っている」
人攫い 「なんで?俺なんかのために?」
ブラウニー 「それは知らないな」
人攫い 「……」
ベネット 「痛い…痛い…痛いぃぃぃぃ!!嫌だ!こんなところで終わるなんて、屈辱だ……!!」
アリサ 「本当にごめんなさい…おじさん……」
ベネット 「はぁぁぁっ………僕の…か…ね……(息絶える)」

――暫くの沈黙

ブラウニー 「どうだ。これはおまえの望んだ死、だったか?」
人攫い 「………こんなの、ナイフで身体を抉られるのと変わんねぇよ」
アリサ 「(苦しみながら大泣き)」
ブラウニー 「アリサ、すまなかった。私があのような男の元に行くのを許してしまったせいで
        必要以上に辛い思いをさせてしまったな……。まさかあいつが、耳鳴りを感じないとは……」
アリサ 「いいのよ……私が駄目なの。存在そのものが。どこにいたって、人を不幸にしてしまう。
     死を自ら覚悟しても、必ず新たに私の前に現れる者がいる……。そして、死を許さない…。そう、この人攫いも……」
人攫い 「ああ、死は許さないかもな。なんたって、俺はおまえを攫いに来た人攫いだ。首なんか渡しても、あのお偉いさんは喜ばねぇ」
アリサ 「やっぱり、そうなの……。貴方の欲望、頂くことになってもいいのね?」
人攫い 「いいよ。持っていっちまえよ……。死なんて、選べないってことがよぉく分かったから……」
ブラウニー 「さぁ、アリサどうだ。こいつの欲は……」
アリサ 「…………」
ブラウニー 「どうしたんだ?」
アリサ 「………ない」
ブラウニー 「?」
アリサ 「……吸い取らない……」
ブラウニー 「吸い取らないのか………。初めての事例だな。人攫い、おまえに欲はなかったのか……?」
人攫い 「欲くらいあるさ。今後の生き方、死に方、手に入れたいもの……」
ブラウニー 「それは、なんだ。今この場で言葉にしてみるのだ」
人攫い 「………俺はさ、一番寂しい奴だって、どうしようもない奴だって思っていたんだよ。
     だけどな……、こんな、こんな哀れな娘に出会ってさ、俺はただ弱かったんだな…って思った。
     だから俺は、アリサと、この世の果てに隠れて、誰にも迷惑かけないように
     絶命する日を待てば良いんだろうなと思ったんだ……」
ブラウニー 「(アリサと絶命する日を待つ……まさか、吸い取らないのではなく――)」
アリサ 「そっか……。人攫い、私の存在を認めてくれたのね。嬉しい……」
人攫い 「さぁ、行こうか。お嬢ちゃん。楽しい世界が待ってるぜ」
アリサ 「生業は…?依頼は…?」
人攫い 「良いんだよ……。んなもん。続けていたら生き地獄だ……。じゃあ、ブラウニーも行くか」
ブラウニー 「おまえは私を運べるとでも言うのか」
人攫い 「ああ、運ぶものならあるよ。安心しな」


――ピアノの音色が響く

アリサM 「こうして私たちは、ただ、誰もいないこの世の果てで、古びたピアノと[とこ]を共にする…」




end of the story.

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